【被災地からのコラム】芥川賞作家の柳美里さんが南相馬の高校で「特別授業」 朝日新聞南相馬支局・本田雅和

東京電力福島第一原発の事故直後から取材で福島県南相馬市に入り、この春、家族と同市に移住した作家の柳美里(ユウ・ミリ)さん(47)が、6月16日、南相馬市の県立小高工業高校で「特別授業」をしました。同校は原発から20キロ圏内。いまも市中心部の仮校舎で授業を受けている1年生の生徒たちに、柳さんは自らの人生を赤裸々に語りました。柳さんが伝えたかったこととは。

芥川賞作家の柳美里(ユウ・ミリ)さん(47)が6月16日、福島県南相馬市の県立小高工業高校で「特別授業」をしました。といっても、東京電力福島第一原発から20㌔圏の同高は、原発事故から5年目に入った今もなお避難指示区域内にあり、生徒たちは市中心部に近い仮校舎に通って授業を受ける日々です。

「私は皆さんとちょうど同じ年頃のとき、女子高を退学処分になりました」――。いきなりの告白に生徒たちは衝撃を受けました。

柳さんが教壇に立ったのは、1年生対象の国語総合の授業。担当の齋藤純一先生(37)を通して「宿題」を出しておきました。

「一番好きなこと」「一番嫌いなこと」「自分が一番よく知っていること」「私(柳さん)への質問」を考えてくること――回答の中で一番多かった「作家になろうと思ったきっかけは?」という問いに答える形で柳さんは自分の生い立ちを語っていったのです。

「私は韓国籍です。私自身は日本で生まれ育ち、韓国語はほとんどしゃべれませんが、両親が韓国から来て……。韓国語読みでユウミリと言いますが、ミリという名前は、日本語読みでも韓国語読みでも、同じ読み方の漢字を祖父が探してきてくれたんです」

「小学5年のときに両親が別居。私と一番下の弟が母に付いて行って、すぐ下の弟と妹は父と暮らし、家族は別れ別れに……」

「横浜の女子高に通ったのですが、退学になる前に無期停学に。理由を小高工業の先生に話したら『そんな生徒はうちにはいない』とびっくりされました」。柳さんの高校は「お嬢さん学校」と言われる中高一貫のミッションスクール。放校になったのは16歳の春。喫煙、家出、自殺未遂を繰り返していました。彼女の苦し紛れの行動は、社会から受ける差別や冷酷な仕打ちと決して無関係ではなかったと思います。

高校中退後、家出をした柳さんは東京・原宿で見たミュージカルをきっかけに劇団に飛び込んで役者になりますが、これにも挫折して戯曲を書き出します――柳さんはそんな人生を淡々と語りました。

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「すごいと思った。さすが作家だ。自分のあやまちや過去をきちんと話せる人なんだ」。工業化学科の杉岡泰樹君(15)は感動しました。柳さんの勇気に動かされ、柳さんに指名された何人かの生徒が自らのことを話し出します。

柳さんは「好きなこと」「嫌いなこと」の理由や背景の説明を、相手に分かってもらえるように表現するよう促します。生徒同士で互いに「自分」を語らせ、文章を作るコツも伝授しました。

授業を終えた柳さんは「15歳ごろは一番多感な時期。生徒たちは目が合うときっちり見つめ返してくれました。なあなあではない真剣さがありました」と語り、生徒たちの反応に手応えを感じていました。

この特別授業は、原発事故の直後から取材で南相馬市に入っていた柳さんが、地元の臨時災害ラジオ局のパーソナリティーを務める番組で、ゲストに招いた同高の井戸川義英教諭(61)の依頼で実現したものです。

柳さん自身、この春、夫と高校1年生になった長男と4匹の猫とともに、南相馬市に移住してきました。通りすがりではなく、原発事故の被災者の人たちと暮らしをともにしながら、小説を書いていこうと決意したからです。

井戸川先生が、地域住民となった柳さんに講師をお願いした背景にはこんな思いもありました。

「最近の子は活字離れが著しい。本校は卒業後に就職する生徒が多いが、採用試験では理科系とはいえ小論文が課せられるのがほとんどで、作文が得意まで行かなくても、自分を表現することの苦手感からは脱せられる機会になれば……」

柳さんも、井戸川先生も、生徒たちも、この地域での「再生」を夢見ています。


【写真説明】
生徒らに文章を書くコツを伝授する柳美里さん=福島県南相馬市原町区北原の小高工業高校仮設校舎

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