【被災地からのコラム】富岡高と双葉翔陽高、部員3人で続けた吹奏楽 朝日新聞福島総局・鹿野幹男

福島県の富岡高音楽部員は、3年生の2人、双葉翔陽高の吹奏楽部員は3年生1人。両校とも原発事故の避難区域で校舎が使えず、いわき市のいわき明星大学内仮校舎に通っています。1人で練習することもありますが、十分な練習もできないなか、やめることなく音をつくりあげてきました。8月8日、いわき市で開かれた県吹奏楽コンクールには、3人のうち2人が他校と合同で出場しました。両校とも今春から1年生の募集を停止したので、来年、新入部員が入らなければ、2校の部員による最後の演奏となります。

記者になって17年。ほぼ毎年、夏は高校野球を取材してきました。汗とほこりにまみれながら白球を追う球児たちの姿に、胸を熱くしながら話を聞いていました。今年は吹奏楽に夢中になる高校生たちを取材し、ひと味違ったドラマに出会うことができました。

8月8日、福島県いわき市内で開かれた第53回県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社など主催)高校小編成の部。1705人を収容できるホールに、双葉翔陽の高橋なおみさん(18)のホルンと、富岡の松永明香里さん(18)のクラリネットの音色が響き渡りました。

富岡の音楽部員は松永さんと、体調不良で出場できなかった坂本明日香さん(17)の2人。双葉翔陽の吹奏楽部員は高橋さん1人。部員数が少ないため、相馬農、小高工、小高商3校と合同で出場しました。

2校の校舎は原発事故の避難区域で使えず、3人はいわき明星大学(いわき市)内の仮校舎に通っています。両校とも2年生の部員はいません。今春から1年生の入学者の募集を停止したため、来年、新入部員が入らなければ、2校の部員による最後の演奏となります。

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練習場所の南相馬市原町区までの距離は約70㌔。合同での出場が決まってから5校が顔をそろえて一緒に練習できたのは土日を中心に7回ぐらい。普段は、両校の顧問の先生がアルトサックスを吹いたり、キーボードで他校が担当するパートを演奏したりして、練習を支えました。

3人が初めて技量を競う大会に出たのは2年前の12月。当時2年生だった双葉翔陽の佐藤夕茄里(ゆかり)さん(19)と計4人で出場したアンサンブルコンテストの地区大会でした。部員不足で、その年の夏のコンクールには出場できませんでした。

ステージの上を照らすスポットライト。観客の射すくめるような視線。初めての体験でした。高橋さんは緊張のあまりひざががくがく震え、出だしの音がうまく出せませんでした。「ほかの高校の上手な演奏を聴いて、初めてうまくなりたいと思えた」。それまで練習は平日だけでしたが、土日も練習するようになりました。

2校は同じ場所に校舎がありますが、カリキュラムは別です。富岡の2人が試験や資格取得のための課外講座に出ると、高橋さんは1人きりでの練習に。寂しさのあまり、心が折れそうになったといいます。「いまはつらいかもしれないけど、2人が戻ってくるまで頑張ろう」と自分に言い聞かせ、続けました。

8日のコンクールには、今春卒業した佐藤さんも駆けつけ、演奏を終えた後輩たちをねぎらいました。

佐藤さんのふるさとは福島第一原発が立地する大熊町。放射線量が高い帰還困難区域内で、簡単には戻れません。彼女はいま、いわき市内の仮設住宅で避難生活を送りながらいわき明星大に通い、楽団に入ってテナーサックスを吹いています。

人数が少なく、不十分な練習環境のもとでも、やめることなく音を作り上げてきた富岡と双葉翔陽の生徒たち。若い彼女たちの人生には困難が立ちはだかることもあるでしょう。そんなときには、仲間と奏でた音を思い出しながら前を向いて進んでいって欲しいと思います。


写真説明
ヘッダー写真
コンクールでホルンの力強い音色を響かせる高橋なおみさん=8月8日、福島県いわき市の芸術文化交流館アリオス

文中写真
8日の本番を前に、富岡の志賀友加里顧問が奏でるキーボードの演奏に合わせ、楽器を吹く松永明香里さん(左)と高橋なおみさん=7月28日、福島県いわき市のいわき明星大学

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