【被災地からのコラム】漁師町の歴史を演じる子どもたち 朝日新聞宮古支局・阿部浩明

豊かな恵みをもたらし、ときに牙をむく三陸の海。大漁にわき、震災を乗り越えてきた漁師たち。そんなふるさとの歴史をテーマにした表現劇が、岩手県山田町の町立大沢小学校(児童80人)で30年近く受け継がれている。かけがえのない海を守り育てていこうという願いを込めて全校児童で演じる「海よ光れ」だ。


「(海の方を)見でみろ。だいぶ前に終わって残念だぁども、鯨で栄え、日本で最後まで残った捕鯨会社の跡だ」。9月下旬。学校の体育館に、地元の方言で話す子どもたちのせりふが響いていました。11月の上演に向け、5、6年生の配役を決めるオーディションです。「何を一番に伝えたいと思って演じるの!」。声が小さいと、指導する佐藤はるみ先生(55)のげきが飛びます。

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写真説明:友だちとつながって体をうねらせ、波を表現する子どもたち

1年生から5年生は、体をうねらせて横波や縦波を表現したり、ウミネコを演じたりします。集大成となる6年生は、老人や孫、船乗り、村人などせりふのある役につきます。児童数が減ったため、今年は5年生も登場人物の助っ人に入ることになりました。

舞台には、本物のスルメイカや昔ながらの漁具も登場します。子どもたちは地域の歴史と漁業文化に理解を深めるため、総合学習でイカ干し作業の「スルメ割り」を漁師から習い、その体験と実感を、演技にも生かしているのです。

「海よ光れ」の初演は1988年。漁業をなりわいにした暮らしや、漁師のたくましい生き方を子どもたちに伝えたいと、大沢小の先生だった箱石敏巳さん(のちに校長として再赴任)が創作劇を思い立ち、アマチュア劇団の人に脚本を書いてもらいました。明治29年の三陸大津波、大正時代のスルメイカの豊漁、トロール漁船による乱獲などが原因の不漁……。昔を述懐する老人が孫に語り聞かせます。「海が泣いでる。進歩すた人間の知恵ど力で、今度は海を生ぎげえらせろ」

地域の願いを描き込んだ表現劇は、全校児童が一つになる伝統行事となっているが、東日本大震災の年は休演せざるを得ませんでした。それでも翌年2月、卒業が迫るなか6年生だけで上演しました。「どうしても演じたい」と強く希望したからです。佐藤先生にも「ここでやめてしまったら、劇は途絶えてしまう」との不安がよぎりました。

山田町は津波と大規模な火災で、甚大な被害を受けました。高台にあって津波を免れた大沢小には当時、数百人の住民が身を寄せ、避難生活を送りました。校庭の半分には今も仮設住宅が並んでいます。幸い児童は全員無事でしたが、家族を失ったり自宅が流されたりして、仮設や校区外から通っている子は少なくありません。

海が怖い、近寄れないという子もいます。劇では、自分たちのふるさとを破壊したその波を、自分たちが演じなければならない。佐藤先生は「心の傷は簡単には癒えないし、波を演じられない子どももまだいます。いろんな葛藤はありますが、それでも、頑張ってこれを乗り越えなければだめなんです」と話します。

演劇などを通じて、子どもたちにも徐々に、「津波の怖さを自分たちで伝えていかなければ」と強い気持ちが芽生え始めているそうです。

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写真説明:オーディションで、希望する役に挑戦する子どもたち=山田町立大沢小学校

オーディションの結果、船乗り役になった6年の千代川勇也君(12)は、津波で祖父母を亡くしました。悲しい気持ち、悔しい気持ちは今も消えないが、「船頭さんを支えるようなたくましい漁師を演じたい」と元気に話しました。

▽写真説明

ヘッダー:児童たちは昔の服装で「海よ光れ」を演じた

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