【被災地からのコラム】友が戻る町、つくりたい 南三陸の新成人が語った「誓いの言葉」 朝日新聞仙台総局・小宮山亮磨

宮城県南三陸町で1月10日に開かれた成人式の取材が深く記憶に残っています。東日本大震災の津波で教諭1人と生徒1人が命を落とした町立戸倉中で当時3年生だった三浦一博さん(20)が、新成人203人を代表して「誓いの言葉」を述べました。どんな思いを込めたのでしょうか。


戸倉中の同級生30人のうち、いまも町で暮らしているのは、三浦さんのほかには一人しかいません。久しぶりに顔を合わせた同級生に、三浦さんは壇上から「笑顔で成人式を迎えることができるのは、友人、仲間たちのおかげです」と語りかけ、感謝の思いを伝えました。

震災があったのは卒業式の前日。校舎2階にあった教室で卒業アルバムにメッセージを書き合っていたところを、揺れが襲いました。津波が押し寄せたのはその約30分後。三浦さんはいったんは崖に登って難を逃れましたが、高齢の女性を助けようと波に身を投じ、ぐるぐる回りながら約100メートルも流されたそうです。

何とか再び崖に逃れて命拾いしたものの、自宅は流されました。校内では、仲の良かった野球部の後輩と、学年主任の先生を亡くしました。すでに卒業していた野球部の先輩1人も、亡くなりました。

避難所では、流された家がお隣どうしだった女の子と、「秘密基地、流されちゃったね」「がんばろうね」と慰め合いました。苦しいのは自分だけじゃない――。小学生のころからクラス替えもなく、ずっと一緒に過ごしてきた友だちが心の支えだった、と三浦さんは言います。

でも、南三陸町に就職口はあまり多くありません。高校を卒業すると、友だちの多くは地元を離れ、石巻市や仙台市などへ移っていきました。

一方で、三浦さんは昨年10月から、家業のカキ養殖の仕事を本格的に始め、地元に残る道を選びました。実家のカキ棚も津波で壊滅的な被害を受けましたが、幼い頃からお父さんの船に乗せられて遊んでいた海への愛着は、ずっと変わらなかったと言います。

友だちと会えなくなるのは、みんながそれぞれの道を歩み、立派になっているから。でもやっぱり、さみしい。三浦さんは、そんな思いを抱えてきました。

三浦さんは誓いの言葉で、「生まれ育った町の復興に関わっていきたい」という決意も披露しました。南三陸は漁業のまち。自分ががんばれば、町ににぎわいが戻る。そうして就職口が増えれば、友だちがたくさん帰ってくるはずだ。そう考えたからです。

式のあと、三浦さんは会場の外で、友だちから「誓いの言葉、グッと来たよ」と声をかけられました。野球部の仲間で、いまは石巻市に暮らしている友だちからは、「町に家を建てるよ」と教えてもらいました。

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写真説明:友だちと記念写真におさまる三浦さん(左から2人目)

「よかったね」。私が声をかけると、三浦さんは「うれしいです」。照れくさそうに笑顔を浮かべました。


ヘッダー写真説明:誓いの言葉を述べ終えて表情をゆるめる三浦さん

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