【被災地からのコラム】カレンダーで広げよう「笑顔のリレー」 2017年版が完成 朝日新聞塩釜支局・津布楽洋一

東日本大震災の被災者や支援者らの笑顔を載せたカレンダーを作って、売り上げの一部を被災地へ寄付する活動を続けている若者のグループがあります。
宮城県七ケ浜町に拠点を置く一般社団法人「JACK IN SMILE」。震災直後、代表理事の吉川一利さん(27)ら、当時の大学生約10人が集まって結成されました。
吉川さんは、復興支援でやって来るボランティアの人たちの笑顔に心を引かれました。「この笑顔を毎日見ていけば、いつか被災した人たちにも、笑顔が戻るのではないか」。笑顔のリレーでたくさんの人を笑顔にしようとカレンダーのアイデアが生まれ、カメラを手に被災地を歩き始めました。
最初は「こんな大変なときに笑えない」と、趣旨を理解してもらえないこともありました。それでも徐々に支持を増やし、今秋、6年目となる2017年版が完成しました。
カレンダーには毎日1人ずつ、365人の笑顔が並びます。1月は今年の抱負、3月は復興に対する想(おも)いといったテーマで自筆のメッセージも寄せられています。
今回の売り上げは震災被災地のほか、岩手県岩泉町など台風被害を受けたまちにも寄付する予定です。
支援者のなかには、それぞれの地元でカレンダー活動を始める人も出てきました。沖縄県ではすでに宮古島版ができ、岩手県野田村でも来春、ご当地版が作られるそうです。
吉川さんはカレンダーによって「明るく前向きな気持ちで、震災のことを伝えられたら」と話しています。
筆者も1部購入して、事務室の壁に掲げました。1年間、この笑顔とともに、少しでも多くの明るいニュースをお伝えできることを祈っています。
カレンダーは1部980円。仙台市の仙台ロフトで扱うほか、ホームページhttp://www.egao-project.com(「笑顔カレンダー」で検索)からも購入できます。
ヘッダー写真説明:完成した2017年版「笑顔カレンダー」を手にする吉川さん夫婦