【被災地からのコラム】5年8カ月ぶりの母校は……来春休校の福島県立双葉高校 朝日新聞いわき支局・杉村和将

福島県双葉町にある県立双葉高校は、原発事故の影響で存続が難しくなり、来年春に休校します。その校舎を見学する会が11月6日に開かれ、同窓生らと一緒に学校を訪ねました。

学校の場所は東京電力福島第一原発から約3㌔。政府が設定した避難指示エリアのうち、最も放射線量の高い帰還困難区域にあります。学校は除染が行われたため、放射線量は比較的低い場所となっていますが、特別な許可がなければ人が立ち入ることはできません。同窓生が学校に入るのも、事故後初めてのことです。

参加したのは同窓生や教職員ら27人。バスで近くまで行き、正門から学校に入りました。

5年8カ月の間ほぼ手つかずの敷地内です。放置されたままの車があり、校舎2階には、2011年3月に全国大会に出場するはずだった女子柔道部の健闘を祈る横断幕が飾られていました。同窓生の女性が「あの時のままなんだね」と感慨深そうにつぶやきました。

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写真説明:バスで学校の近くに到着した同窓生ら

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写真説明:敷地内には自動車が放置されたままだった


校舎の玄関に入りました。教材や制服、運動着、靴、ラジカセ…さまざまなものが散乱しています。避難する際にいったん持ち出そうとしたものなのでしょうか。整然としているはずの正面玄関の乱雑さが、当時の混乱を物語っているようでした。

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写真説明:雑然とした校舎の正面玄関


久しぶりに訪れる懐かしい母校ということもあって、参加者には笑顔も見えましたが、校舎裏側の運動場に回ったとき、多くの人たちの口数が少なくなりました。そこで見えたのは、積み上げられた黒い袋の塊です。除染で出た汚染土や枯れ草などが入った袋で、運動場が汚染物の仮置き場になっていたのでした。

双葉高校は創立93年の伝統校。卒業生は1万7千人以上に上ります。卒業生の多くが「誇りにしている」と語るのが、夏の甲子園に3度出場したことです。その野球部が練習していた場所が汚染土の仮置き場になり、バックネットもさび付いて風にさらされていました。「こういうのを見ると寂しくなるね」。そう語る年配の男性の目が潤んでいるように見えました。

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写真説明:ところどころ草が生えた校庭。遠くに野球のバックネットが見える

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写真説明:校庭に積み上げられた汚染土の入った袋


双葉高校は原発事故の後、避難を余儀なくされ、2011年5月に県内4カ所の高校を間借りして授業を再開しました。12年4月からは、いわき市にあるいわき明星大学の仮校舎に集約して授業を続けていますが、生徒は今、3年生の11人だけ。15年4月、同じ双葉郡内の広野町に中高一貫校「ふたば未来学園」が新設されましたが、それに伴って、双葉高校は郡内の他の県立4校とともに生徒募集が停止され、休校が決まりました。震災前には約470人の生徒がいましたが、今の3年生が「最後」の卒業生になります。

校舎見学会の前日には、休校記念式典がいわき明星大学で開かれ、在校生や同窓生ら400人が集まりました。掲げられたテーマは「復活双高」。いつの日か学校が再開されることを目指し、その思いを将来へつないでいこうという目的での開催です。

ただ、その「復活」への道のりがどれほど厳しいことか、参加した人たち自身がだれよりもわかっています。

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写真説明:11月5日には休校記念式典があり、400人が学校再開を願って風船を飛ばした

ある同窓生の女性はこう話しました。「実情を思えば、私は『再開』などとても言えません。戻る場所がなく、何も進んでいない。復興なんて何の話?というのが今の実感なんです」。町内はイノシシなどの動物が我がもの顔で歩き、家々や田畑、山里は荒れる一方です。少しずつ避難指示が解除されている他の自治体と違い、町域の96%が帰還困難区域である双葉町では、その見通しは立っていません。人が自由に入ることさえできない現状の中で、子どもたちの帰還を意味する学校再開という目標はあまりに現実から遠く、その言葉を「私自身はうそでも口にできない」と、その女性は語るのでした。

そんな厳しい思いを心の中に秘めながら、それでも在校生や同窓生たちが見せる明るい表情が心に残りました。避難を余儀なくされ、県内外でバラバラに暮らしている人たちが、一堂に会したときに見せる本当にうれしそうな笑顔。同窓生たちは7年後の「創立100周年式典」の成功を早くも目指しています。

心が一つである限り、母校がなくなることはない。そんな強い気持ちを感じた2日間でした。

ヘッダー写真説明:11月6日、双葉高校に同窓生らが新たに設置したプレート

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