【東北女子のおすすめグルメ情報】仙台・THE MOST COFFEE(ザ モスト コーヒー)
街はいつも女優のおつもりで歩くことにしている――
こんにちは。女優の優、言わぬが花の花、子どもの子の優花子です。
新年度ですね。風変わりな私の記事をいつも読んでくださり、ありがとう存じます。連載を続けさせていただいていることにも感謝いたします。今年度もよろしくお願い申し上げます。
昨年、仙台駅前にPARCO2がオープンしました。全く、ペデストリアンデッキの上で、そこに吸い寄せられていくピーポーのたらたら歩きには辟易するよ。手をつないで、進んでいるのかいないのかわからない、ばかみたいなペースで歩くカップル。意志のない目と口元で、首を突き出し背中を丸め、ぶんぶん手を振りべたべた歩く男。しかもみんなご丁寧に右側通行。全然進まねー! 早く入りたいんですが……
――駅前のピーポーのあまりの美学の欠如に女優ごっこが挫折しそうになっても、とんだご気分を復活させてくれるカフェが、PARCO2の3階にある。
マネキンちゃんに恋をしながらショップを通り過ぎ、黒の太ベルトをした店員さんのショップを「あら綺麗なひと」「私の黒のベルトは紳士の腕で我慢したげる」という台詞を思いつきながら通り過ぎ、突き当たりにあるお店がお目当ての、
THE MOST COFFEE(ザ モスト コーヒー)。
ダーリンはダージリンしか飲まないから、私は一人でコーヒーを戴くわ。
なんたる浮気! 楽しい浮気!
群衆の中の孤独ごっこ!
▲コーヒー好きなら必ずテンションが上がるカウンター
その日は、美しい黒髪のお姉さん二人が働いていました。
PARCO2の地下のレストランフロアにも、おいしくてお気に入りのお店がいくつかある。けれども3階のTHE MOST COFFEEの店員さんは別格だ。洗練されていて魅力的である。彼女たちも、TOHOシネマズのビルのコーヒーショップでバリスタとして働きながらオーディションを受ける日々なのかも?
ちなみに、ここでは映画の半券の提示で割引になる。
▲カウンター向かい。ガラスの向こうにメインフロアがある
▲メインフロア。落ち着いた雰囲気
一人なのに奥の四人席に案内してくださり恐縮ですわ。奥から案内しているのかもしれないけれど。
私の好きなすみっこテーブルから店内を見渡すと、ガラスと窓の透明に囲まれた気持ちよい木の空間にソフトなクラブミュージックが流れ、テーブルとテーブルは優雅なる距離を保ち、黒の曲線の椅子はシャンゼリゼ通りのカフェのテラスにありそうな具合である。
空間の作りはどこか、本町にあるSTAR DUST(スターダスト)というクラブ・ライブハウスを思わせた。
▲STAR DUSTでのショーのリハーサル
とにかく、この店内にいると雑多な厭な刺激を忘れ、女優ごっこの心を取り戻すことができるのですよ。
▲アンティーク調の革のソファも落ち着く
▲背後の棚のディスプレイも興味深い
メニュー表には、パンケーキ、ハンバーガー、サラダプレート、エトセトラと並んでいるけれど、ローストビーフをグレイビーソースで戴くサラダプレートにしますわ。
▲おお、これは高揚ちょうちょ(ご機嫌)です!
木のテーブルに木のプレート、たっぷり盛られた野菜たち。贅沢な小鳥ちゃんのえさ台といったところ。女優は小鳥ちゃんにもなれるのよ。
♪花びら ひらひら 牛ちゃん 痛い~ とさえずりたくなってしまうローストビーフは、本当に赤い花びらのように薄くたくさんで、ひどく気分が高揚する。妄想の中で私の向かいに座っているめっぴさん(愛する女性)に「分厚いローストビーフほど有難迷惑なものもないですね」と話しかけると、めっぴさんは「そうですね、薄ければ薄いほどローストビーフは優美なんですよ」と答えてくれる。
野菜は私が数えたところ15種類も入っており、葉っぱ食べな私(本当に小鳥だ)はとてもうれしい。ナイフ、フォーク、スプーン一式が揃っており、サラダをナイフとフォークで食べていいのもうれしい(サラダをフォークだけで食べるのは嫌いだ)。白いドレッシングの量は控えめ。お芋類が3種あるから割にお腹にたまる。オレンジがひとかけ入っているのはどこかクレイジーで悪くない。
パン(グルテンフリーではない)はぽわぽわあったかくてかわいく、手でちぎって口に運ぶと、ローズマリーか何かハーブの風味である。
▲コーヒーの佇まいはシンプル、こんなホシヤマもありなのね!
そう、ここはホシヤマ珈琲店の系列なのです。コーヒーのこだわりはそのまま、コンセプトをカジュアルにしたみたい。
AERに入っているホシヤマは素晴らしく豪華な空間で、丁重なサービスとお客さんの雰囲気に合わせて出してくれるティーカップの美麗に酔えるけれど、食べ物のおいしさはこっちもかなりなのでは? と思います。
今回戴いたオリジナルブレンド「THE MOST BLEND」は、キレのある爽やかで端正な風味の中に、飲み終わりは悩ましく完熟したざくろやびわやいちぢくを思わせるエロティシズムがあって(ゆかこさん、お前が勝手に好きな果物を並べ立ててそう妄想してるだけでしょうよ。珈琲の味の言語化には自信がないのだ)とにかく幸福の一杯だった。
ちなみに、このブレンドをおみやげに2袋戴いたのです。「私、このお店が気に入っていて…ブログに載せたいので写真を撮らせていただいてもいいですか?」と聞いたら、ぱっちりとした目に湖の底より深いブルーのアイシャドウを乗せた美人スタッフさんが「もちろん大丈夫ですよ。ちなみに、ブログやSNSなどに載せてくださった方にはプレゼントをしております。あとでご案内しますね」と親切に接してくださった。
「どんなブログですか?」と聞いてくださったときにウェブベルマークと伝え(それだけでは情報が足りなかった)、「私の文章って妙ちくりんなんです。笑って読んでくださればうれしいです」と言ったのだが、文章が妙ちくりんだとわざわざ宣言しなくとも、私のファッションを見れば何もかも変なのはわかるのでは? …私の場合、歪んだ愛なのですわ。
▲かわいい。こちらこそありがとうございます
▲太陽が照明を落とす時刻、外を見ればtechnicolor
夕暮れの青、Loftの黄色、「仙台駅」のオレンジ色が、私をスクリーンの上に呼ぶ。
人生はステージ。さあ会計を済ませ、自作自演の舞台を演りに行きましょう。
自作の半券を見せたら割引してくれるかしら?
(玉田優花子)
今回ご紹介したお店の詳細データ
店名 THE MOST COFFEE(ザ モスト コーヒー)
住所 宮城県仙台市青葉区中央3-7-5 仙台PARCO2 3F
電話 022-796-9360
時間 10:00~21:00
休日 なし