【被災校訪問レポート・岩手】全校生徒229人の28%が仮設住宅から=大船渡市立大船渡中学校
大船渡湾を望む高台にある大船渡市立大船渡中学校の校庭にも仮設住宅があります。入居者が減り、今年2月に駐車場を縮めて小さな「広場」ができました。サッカーゴールを置き、シュート練習はできる広さです。金賢治校長は「生徒は『土の上でできるだけで十分です』と泣かせてくれます」と話します。
写真説明:借りたグラウンドで練習する大船渡中の野球部。広さがうれしい=大船渡市内
野球部は毎月半分ほど、市教委のバスで学校から15分ほど離れたグラウンドを借りています。夕方1~2時間の練習ですが、監督の戸羽智英先生は「モチベーションが上がります」。部長の田中友輝君(2年)は「試合に近い実戦ができるし、声を思い切り出せてまとまりが出てきました」と話しました。
全校生徒229人の28%が仮設住宅です。金校長は言います。「心がけているのは、全員に震災前に流れていた時間を取り戻してやること。学校に来れば普通があって楽しかったと卒業生にいわれたのはうれしい言葉でした」
10月16日、大船渡中では下方にある大船渡小と合同で、津波を想定した避難訓練をします。震災時は実際、小学校から児童や教職員たちが高台の中学校に逃げ、全員無事でした。「訓練でやってよかったことを確認し、学校として伝え、残していくべきことは日々の営みにつないで入れていきます」と金校長は話しました。
(写真説明)
ヘッダー写真:校庭代わりに使う中庭。仮設のテニスコートはありますが……=大船渡中