【被災校ニュース】4月、福島県広野町に「県立ふたば未来学園高校」が開校します。

【写真説明】

校名の候補を絞るために話し合う郡内の子どもたち。佐藤勇樹さんも参加した=2014年7月、福島県いわき市の楢葉町立楢葉小・中学校の体育館


ふるさとに戻る:1 双葉の未来、きっとここに


 ◇いま子どもたちは No.871

 2月3日、福島県いわき市のいわき明星大学に中学生152人が集まった。隣の双葉郡広野町にできる県立ふたば未来学園高校の入学試験だ。双葉郡は東京電力福島第一原発があり、原発事故で1万人の子どもたちが避難する。その復興の担い手を育てようと、4月に開学する。

 茨城県鹿嶋市から来た佐藤勇樹さん(15)は郡内の富岡町出身。1万4千人の全町民がいまも避難する町だ。同じ教室にいた男子生徒の制服の名札に目がとまった。顔はわからなかったが、見覚えのある名前。町立富岡第二小学校の同級生の1人だった。

 原発事故が起きたのは小学5年のとき。入試会場では、同学年にいた106人のうち10人を見つけた。身長が今よりも25センチ低かったときの仲間。「試験や面接に追われ、言葉は交わせなかったけど『同窓会』みたいだった」

 ふたば未来に入ろう、と決めたのは15歳になった夏休み。母親が運転する車で福島第一原発から7キロの自宅を、事故後初めて訪れた。15歳未満の場合、町が町内への立ち入りを控えるよう求めている。大工の祖父が建てた家はネズミに荒らされ、庭の木は枯れていた。野球部の練習で毎日忙しく、忘れかけていた原発事故。現実に引き戻された気がした。

 富岡を離れてからも、その風景は被災地を紹介するテレビ番組などでよく見ていた。花見の時期になると決まって町の名所の「夜(よ)の森の桜」が映し出された。事故前は屋台が立ち並んだ場所だ。3年ぶりに訪れると人気(ひとけ)はなく、自分の知らない別世界の風景に思えた。

 去り際に、自室の本棚から1冊持ち帰った。小学生のときの推薦図書だった『緑の森のコッポたち』。避難したときは、すぐ戻れると思い、私物は持ち出さなかった。どの本でもいい。ここで育ったという証しを手元に置いておきたかった。

 ふたば未来には、郡から県外に避難している8人が入学する。佐藤さんは親元を離れ、併設される寮に入る。

 町にいつ戻れるか、見通しはつかない。「近くの高校に通いながら、自分のふるさとをしっかりと見ていきたい」

双葉の未来(図).JPG

 東京都足立区のマンションに家族で住む吉田貴幸さん(15)も、県外から入学する1人だ。原発事故前は双葉郡西端の葛尾(かつらお)村にいた。世帯数約450、人口約1500人の小さな村。ここも全村民が避難している。

 一家は区内の畜産関係の会社に勤める長男を頼った。「東京に自分が住めるなんて」とわくわくした三男の吉田さんは、人混みで歩くと周りに合わせられず、足をよく踏まれた。排ガスや雑踏の臭いはいまだに慣れない。

 中学ではいじめられた。自転車を倒され、消しゴムを投げられて眼鏡のフレームが変形した。殴られて肋骨(ろっこつ)にひびが入ったこともある。殴られれば殴り返した。放射線量の高い「ホットスポット」が近くで見つかると、「福島の子、いたよね」と、まるでその原因かのように心ない言葉を浴びせる大人もいた。

 村にいたときは、おじ一家も含めて14人の大家族だった。78歳の祖父は畑仕事に加え、子牛を繁殖させて売っていた。村で評判の高い牛だった。祖父の手伝いで餌をやり、晩秋になると山に入って木を蹴り、堆肥(たいひ)にする木の葉を落とした。祖父が運転する軽トラックの荷台に乗るのが好きだった。

 「東京では家に帰ってから暇なのでゲームばかりしていた」。都会暮らしが嫌なわけではない。休日に出かけるときは、赤いラインの入ったマフラーを首に巻き、背中に斜めがけバッグをかけるおしゃれな服装だ。

 でも、自分の居場所はここではない。ふたば未来ができることは、村の元同級生からの電話で知った。農業科目も選べる。祖父と同じ農業と畜産をしていきたいと考えていたので、うってつけだった。

 今の中学校には、2年生のときから家族ぐるみで仲よくしている同級生がいる。都内の高校に進む彼から「俺の高校の文化祭、遊びに来いよ」と笑顔で誘われた。

 「お前が、こっち(福島)に来いよ」

 「おー、行ってやるよ」

 いつか絶対に、と吉田さんは思う。俺の作るうまい野菜を、いつか絶対に食わせてやるよ——。
 (岡本進)

 ◇原発被災地に新たにできる高校に入学する15歳の姿を追います。

(朝日新聞社 2015年3月11日)無断転載を禁じます。

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