【被災地ニュース】陸前高田で進む、総額1200億円を投じた街づくり

陸前高田、復活への1200億円 東日本大震災5年目

 東日本大震災で市街地が壊滅した岩手県陸前高田市で、総額1200億円を投じる街づくりが進む。東京ドーム9杯分の土を平地に運び、高さ14メートルまで盛って造成する被災地最大級の事業だ。人口が減るなか、なぜこれだけの事業が必要なのか。現地を歩いた。

 ■126ヘクタールかさ上げ、街の「核」を

 陸前高田市の旧市街地に立つと、どこか現実離れした感覚になる。
 山の中腹と平地をつなぐベルトコンベヤーは総延長約3キロ。空中回廊のように張り巡らされ、先端から大量の土砂がはき出されていく。その土砂を積み上げて造成した台形状のかさ上げ地は、古墳群のようだ。
 盛られた土のてっぺんを見上げると、海面からの高さを示す「TP+14・1メートル」の白い看板。4階建てのビルほどの高さだ。あと4年以上かけて、この上に新しい街がつくられていく。
 震災の日、建物2500棟が並んだ市街地は、津波で消滅した。6千人が暮らす新たな街の総事業面積は約300ヘクタール。かさ上げ地の面積はその4割(126・6ヘクタール)に上る。
 これほど大がかりな事業が必要とされる理由について、市の山田壮史(つよし)・都市整備局長に尋ねると、「そうしなければ一つの街が成り立たないのです」という答えが返ってきた。
 震災後、人が住むところは高台の仮設住宅など各地に散らばり、町内会の多くが解散した。中心商店街など街の核と呼べる場所はどこにもない。「それでは単に人がいるというだけ。街とは呼べないんです」
 街を造る広い土地は高台にはなく、旧市街地を利用するしかない。だが、そこは津波の浸水地。安全確保に土地を10メートル以上かさ上げする必要がある。
 造成工事が始まり2年3カ月たった。震災から5年目の今年、住宅や店を建てる配置が決まる。商業エリアの一部では来春ごろから中核となる大型店舗の建設が始まる。将来は図書館などの公共施設も配置する計画だ。

陸前高田P150416000805_1.jpg

 ■人口減に危機感、市民も模索

 かさ上げが最も早く完成する商業エリアは、新しい街の顔になる。どう人が集まる場所にするか。地元商工会は昨年2月から勉強会を重ね、今年は、市民が参加してアイデアを出し合うワークショップも開いた。
 「生活用品がそろうのが必要だ」「ベビーカーで入れるカフェがほしい」「高齢者が高台から市街地に下りるのは難しい。巡回バスがほしい」
 商工会と市の担当者は情報を共有し、市民の声を反映させた街づくりを模索する。背景にあるのは、人口減少への強い危機意識だ。
 震災前に2万4千人だった人口は今、約2万人。住民票はあるが市外に避難する人もおり、実際はさらに少ない。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、10年後に約1万7千人になる。
 仮設店舗で布団店を営む菅野幾夫さん(65)はかさ上げ地での出店をあきらめた。「あと5年で70歳。後継者もいない。街の人口も減り、商売は無理だ」
 旧市街地に住んでいた人の高台への移住が進む。郊外に大型店もできた。商工会によると、中心市街地への出店を希望する事業所は約120軒。震災前の約300軒から減る。
 「おめえたち何これからシャッター商店街つくろうとしてんだ」。商工会の中心メンバー、磐井正篤(いわいせいとく)さん(58)は1年ほど前に客からこう言われた。
 江戸時代から続く酒と和雑貨の老舗店を津波で流された。今は仮設の店を構え、かさ上げの街に家を建て商売も続けるつもりだ。
 地方の被災地。「小さくてもいいから生き生きした街にしたい」。成功も失敗も行政まかせにせず、一人でも多くの市民がかかわって愛着の持てる街をつくりたいと考える。
 商工会のアドバイザーを務める独立行政法人・中小企業基盤整備機構の長坂泰之担当課長は「昔のままの商店街を再生しようという考えでは消費者は目を向けてくれない。使う人の側に立ち、いかに魅力ある街をつくれるかに生き残る道がある」と指摘する。

 ■<視点>存続へ命運かけた事業

 巨費を投じる陸前高田市の街づくりにはネガティブな見方も伴う。高齢化率35%。立派な街をつくったけれど、人がいないということにならないか、という声である。
 そのことは地元の人たち自身がよくわかっている。商店主や街づくりの専門家たちは「頑張ろう」と聞こえの良い励ましを繰り返しているわけではない。むしろ逆で、これだけ大規模な街の再建がいかに大変なことか理解している。

 今、焦りを覚えている人が多い。震災から歳月が流れ、復興予算を見る目が厳しくなっていることへの不安だ。
 街に愛着を持つ人たちが各地でバラバラに暮らす現状を見ていると、中心となる街が消滅したままでいいとは思えない。「陸前高田」が存続できるかどうか命運をかけた事業だといえる。応援する視線で見つめたい。(杉村和将)

 【写真説明】
大規模な土地のかさ上げ工事が進む旧市街地=陸前高田市、福留庸友撮影(画像5枚を合成)
 【図】
陸前高田市中心部の計画イメージ/震災直後の陸前高田市

(朝日新聞 2015年4月20日)無断転載を禁じます

ウェブベルマークとは

教育支援のパイオニア ベルマークのウェブ版

2013年9月、東北被災校支援をきっかけに始まりました。 自己負担がなく、ネットショッピングで支援金を生み出すことができる仕組みです。

>詳しくは、こちらへ!

Yahoo!ネット募金

Tポイントやクレジットカードで、寄付できるようになりました。

>寄付は、こちらから!

1クリック募金(協賛サイト負担)

ひとり1日1回クリックするだけ、東北被災校へ1円募金!

↓このバナーからウェブベルマークサイトへ。

ネットショッピングで、東北の被災校支援を。Web Bellmark

ウェブベルマーク紹介動画

人気記事

カテゴリー

ウェブベルマークをPRしよう!データ(チラシ・説明資料)をダウンロードできます!

チラシデータ(PDF A5版 カラー・モノクロ)と2017年度説明会にて使用する説明資料(パワポ・PDF)をご用意しています。自由に加工してください。

> チラシデータのダウンロードは、こちら!

> 説明資料・のぼりデータのダウンロードは、こちら!

2017年度版のチラシデータをご用意しました。(2017/03/14)

NEW! 2017年度版の説明資料(パワポ・PDF)をご用意しました。(2017/04/21)

NEW! 説明会会場で掲示しているのぼりデータ(PDF)をご用意しました。(2017/05/12)

LINE公式アカウント

ウェブベルマークLINE公式アカウントです
@webbellmarkでも検索可能です
「利用」「アプリ」など、トークで話しかけてみてください!

友だち追加数