【被災地ニュース】(東日本大震災5年 復興はいま)仮設商店街のまま、9割

68カ所調査 売り上げ減 助成延長へ
東日本大震災後、被災した岩手、宮城、福島3県にできた68カ所の「仮設商店街」のうち、約9割の62カ所がプレハブ店舗のまま営業を続けている。復興の指標となる「本設」の商店街に移行できたのは、岩手県大船渡市の1カ所のみ。店の売り上げが低迷しているためで、政府は支援措置を延長する方針だ。
仮設商店街を建てた独立行政法人「中小企業基盤整備機構」がまとめた。プレハブ内に3店以上が入る仮設商店街のうち、仮設の状態を解消したのは岩手、宮城2県の6カ所。5カ所は店がそれぞれ独立したり、廃業したりしてなくなった。
いまも仮設で営業しているのは62カ所の計669店。開業当初は、被災地を訪れるボランティアや作業員らの飲食や買い物で売り上げは安定した。だが、ボランティアだけでなく、地元で暮らす住民も減っており、最近の売り上げは低迷している。仮設から出ると家賃などの負担が増えて経営できず、自立したくても多くが見合わせている。
政府は仮設商店街の必要期間を「設置後5年」とし、それまでに解消できた場合は仮設の撤去や移転費用を国が全額肩代わりする方針だった。政府はこうした助成制度を2018年度末まで延長、店の支援を続ける。
中小機構によると、仮設商店街の建物の耐用年数は27年。ただ、設置から5年たつと、いまの所有者である各市町村は、店から賃料を請求できる。今秋以降、有償に踏み切る自治体が現れる可能性があるという。(編集委員・大月規義)
ヘッダー図表説明:被災3県の仮設商店街
(朝日新聞2016年2月12日)無断転載を禁じます。