【被災校ニュース】学びの場、遅れる復興 仮設・間借り・校庭に住宅、計121校
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の公立小中高、特別支援学校で、仮設校舎を使ったり、校庭に仮設住宅があったりして、本来の学校生活に戻れていない学校が121校にのぼることがわかった。いずれも被害が大きかった沿岸部を中心とした42市町村にあり、この地域の学校全体(851校)の14%を占めた。
■重なる事業、入札進まず
朝日新聞社が3県の教育委員会に、1月末時点で、仮設校舎を使っている学校▽他校などに間借りしている学校▽校庭に仮設住宅がある学校――のそれぞれの数をたずねた。
プレハブなどの仮設校舎を使っているのは38校、他校や民間施設に間借りしているのは29校で、本校舎に戻れていない学校は計67校だった。42市町村では地震と津波、原発事故による避難で計165校が使えなくなったが、41%が復旧していない。新年度中に再建した本校舎に移転できるのは9校にとどまる見通しだ。
各県教委によると、復興事業が集中して資材の価格や人件費が上がっているために入札が不調となり、学校の再建にも遅れが出ているという。岩手県では当初と比べて半年~2年程度、建設計画が遅れている。宮城県石巻市の市立渡波(わたのは)中学校が使う仮設校舎では、教室の隣に柔道室があり、授業の内容が聞き取りにくいなどの支障も出ている。
一方、校庭に仮設住宅があるのは54校。この5年間で完全に撤去されたのは岩手の3校だけだ。住まいの復興の遅れが学校生活に影響している形で、宮城県教委の担当者は「校庭が狭くなって運動スペースを確保するのが不十分。運動不足や体力の低下が心配だ」と話す。(黒田壮吉、佐々木隆広)
■本来の学校生活に戻れていない公立小中高、特別支援学校の数
仮設校舎を使用/他校などに間借り/校庭に仮設住宅
岩手県 9/5/26
宮城県 7/6/28
福島県 22/18/0
計 38/29/54
ヘッダー写真説明:仮設校舎に登校する渡波中学校の生徒たち=宮城県石巻市、小宮山亮磨撮影
(朝日新聞 2016年3月4日)無断転載を禁じます。