【東北女子のおすすめグルメ情報】仙台・みのりカフェ エスパル仙台

今日のキーワードは「銀座とお揃ひ」であります――
こんにちは、優花子です。
お洋服屋さんだけでなく、外の空気がもう立派に秋ですね。今年の夏はこんなに短かったのか……。
さきほど、エスパル仙台の中に香水店「DIPTYQUE(ディプティック)」が入っていることに気づいて歓喜していたところ。銀座や青山にしかないと思っていたわ。
敬愛なる音楽家のお姉さんに、このブランドを教わったのだ。私はとりわけfoin coupé(フワンクペ、刈りたての牧草。この香りとシの音とはイメージが共通するという)の香りが気になっていた。彼女は私にとって、銀座を象徴する方。……でもまあ、今日はDIPTYQUEより先に行きたい場所があるのよ。
もうひとつ嬉しい銀座とのお揃ひ。エスパル仙台本館1階。ちょうちょが寄りつく野菜畑、とでも言うのでしょうか? 「みのりカフェ エスパル仙台」です。
このお店はJA全農プロデュースの「みのりみのるプロジェクト」系列だそう(ちなみに銀座三越には「みのりカフェ」と「みのる食堂」が入っている)。
▲仙台店はちょうちょの癒しの雰囲気です
エスパル仙台がリニューアルしたときから直感的に気になっていたお店だけれど、なぜか今まで一度も来ていなかった。
来ることができたきっかけは、どちらかというとあんにゅいな出来事なのですわ。近くのお店で限りなく惹かれるハンドバッグ――オオミズアオという美しき蛾の色と同じペール・グリーンの――を見つけ、買うか買わぬか一度冷静に頭を冷やすために、偶然寄りついたお店がここなのだ。
そのときは「畑の恵みのタコライスプレート」と「グリーンスムージー」を頂き、ぜひまた来ようと思っていた。
そんな私のお望み通り、再訪したのです。
▲なんとも良い風景
▲「DRINKのみオーダーOK」
と書いてあるけれど、こんな野菜の美味しそうなお店でドリンクだけ……という選択は果たして可能なのか。
▲いかにも私の好きそうな子、JAっぽい
お食事を頂くまでの前置きがいつにも増して長くて恐縮ですが、このお店の入口近くの雰囲気は特筆すべき(筆というより写真が中心ですが)なので、あと少しだけご紹介いたします。
▲注文するカウンター
注文はカウンターですることになっているものの、一度席を取ることが推奨されています。メニュー表は席に持ちこんでゆっくり眺めることができます。カウンターの中には感じのいいお姉さんがたがいらっしゃって、とても良い雰囲気。
▲なんたる桃
(大抵の男は桃を見ると、女の肌の産毛、その表面のみずみずしさ、その弾力――表面から想像される内部の肉のぱんぱん具合――といった迷惑極まりないことを思うのだろうが、そんなのは盛大に « je ne sais pas »、「知らんがな」なのですわ。女は、あら美しい、わあ食べたい、という純粋な感情さえ抱いていれば良いのですわ。)
▲そしてなんたるラ・フランス
美味しそうで震えます。
――今日は、「干し野菜のトマトスープ」(パンをライスに変更して)を頂くことにした。
▲おいしくてやさしそう
サラダには本格的なにんじんドレッシング。ごはんは黒米の味そのものを楽しむスタイル。お家でおいしく炊けたときの味。宮城と岩手のお米を使っているみたい。
スープはひどくお気に召しました。これならどんなに体調あんにゅいなときも頂けるやさしさ。干し野菜って独特の美味しさがあるわ。ドライフラワー然り、最近は枯れたものって良いなといつにも増して思っている。細かく刻まれて入っているのは、大根、にんじん、あと何? みずみずしい大根葉(?)はその鮮やかな緑色も食感もうれしい。
このときは奥のテーブル席で頂いていたのですが、私の魂胆は、デザートとドリンクを追加注文し、入口付近のカウンターに移動して頂くというもの――なんたる贅沢。それに、カウンターにはコンセントがあるんですもの(しかもコンセント口が黄金なのでちょっとうれしい)。そこでそのままこの記事を作りはじめました。
▲デザート選びはどれにしよう
▲「豆乳のパンナコッタ トマト」
トマトばかり選んで狂った女だと思われているかもしれない。でも、この子が最も絵画的に佇んでいたの、ショーケースという公開処刑オーディションの中で。
たまに狂って赤いものばかり食べる女なのだ、私は。
▲崩すのもったいない
けれど、崩す。なんとも素直な豆乳の味わい。前回頂いたグリーンスムージー(小松菜+りんご+豆乳+ハチミツ)も、小松菜の他には豆乳のインパクトがけっこうあった。むんむんと匂いやかな少年のごとき一種の「クセ」……?
このパンナコッタの場合、そこまでむんむんと悩ましい青っぽい甘美はないのですわ。コクがあるけれど濃厚すぎない。
そして、ハーブティーも一緒に頂いた。暑いときは冷たいものをいくらでも頼みたくなるけれども、ひとつは温かいのにしないと食べ始めてから後悔しますから。
ハーブティーは紙コップにプラスチックの蓋がされて提供される。もしも私が鳥だったら(”If I were a bird”)と同じノリで、もしも私がベイカー恵利沙さんだったら、そこにとてもフォトジェニックに真紅のくちびるのkissマークをつけるのだけれど……
ところでCHANELの口紅のタッチアップはご存知ですか。CHANELでは、つけている口紅の拭き取りを自分でしなければなりません。BAさんに濃やかなるお世話をしてもらう至上のお遊び、なんてものを夢見るには百年早いわ とでも言われていそうなこのみじめさ―― が私は嫌いでないのだ。
だからハーブティーが華麗な陶器で出てこなくともいいの。期待を裏切られ、悲劇のヒロインごっこができるのだから。でもこの悲劇のヒロインはすぐ気を取り直す。プラスチックのふたを無理無理こじあけ、ティーバッグのハーブたちの色かたちをチェックすると、新進気鋭の青年のごときレモングラス? と、大きめの赤いお花が入っている。
▲フリーペーパー等はTake free
JA全農のフリーペーパー『AGRIFUTURE』 52号をたまたま読んだところ、レタス生産者・綿貫利彦さんに取材した記事が印象的だった。
「農業は何が起こるか分からない自然の環境下で行う仕事です。人間は暑けりゃ日陰に移動することができますが、野菜は動けませんからね」
「農家は作物主体の生活を送るわけです。人の都合で決めた8~17時といった定時なんてありません」
ちなみにこれらの部分の見出しは「人間様よりレタス様」。ほかにも農家の方々の真摯な言葉がたくさん読める。野菜を愛する乙女たちは心を震わすはずである。
とにもかくにもみのりカフェちゃん、立地も良いし、街ちょうちょとしてまた寄りつかせていただきたく存じますわ。今度は「みのりの “たまごかけご飯”」も気になる……。
ちなみに、ここを出たあとはDIPTYQUEに戻った。ハーブティーを頂いていたら、刈りたての牧草の香りを買わなければいけない衝動に駆られたのである。こんなとき、雨宮まみさんという買い物の神様が天上より微笑んでいてくださる気持ちにすっかりなっているのだ。
戻ったら、仙台店では取り扱っていないということだった。おお仙台の現実よ。DIPTYQUEのディスプレイ、美麗な香水瓶を眺めて楽しめたのはよかったけれど。おお、みのりカフェでの銀座気分のままで帰るべきでしたわ……。
(玉田優花子)
今回ご紹介したお店の詳細データ
店名 みのりカフェ エスパル仙台
住所 宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 エスパル仙台 本館 2F
電話 022-216-5622
時間 7:30~21:00 朝食営業、日曜営業